常山紀談 湯浅常山
本書は、戦国武士の節義を顕彰しようと戦国時代から近世初頭にいたる時期の武士の逸話を700あまり収めた書です。1739年(元文4)刊行。名将の面目躍如たるこの歴史物語は,平明な文章も相俟って,幕末から明治にかけて広く読みつがれました。著者は岡山藩士で、藩の奉行を歴任し、家老格にまでなった漢詩人の湯浅常山(1708‐1781)
多くの歴史小説の資料、タネ本になっている本です。
私が所蔵しているのは、明治31年に発行されたものです。最近では、岩波文庫から
1988年に再版されましたが、残念ながら今では絶版になっていますので、購入する
には古書しかないでしょう。
700あまりのエピソードが収録されていますので、興味深い逸話が数多く掲載されて
います。例えば、隆慶一郎+原哲夫で一躍有名になった、前田慶次郎や島左近の記述
も僅かならが見当たります。慶次郎が末森城の合戦に参じた記述。
三成が左近を自分の禄の半分で召抱えた記述です。
■前田利家末森城後卷合戰の事
〜略 村井不破先陣、原隱岐前田叉次郎片山内膳二陣、田野村三郎四郎
青山與兵衞近藤善左衞門前田慶次郎押續く 〜略
■石田三成が事
〜略 水口四萬石与へられる後、三成に人数多招きたらんと問れしに、島左近一人
呼び出し候と申す。秀吉、それは世に聞ゆる者也、汝が許に小禄にていかで奉公
すべきといはれしかば三成、禄の半分を分ち二萬石與へ候と答ふ。秀吉聞て、
君臣の禄相同じといふ事むかしより聞きも傳へず。いかさまにも、其志なら
ではも汝には仕えじ。ゆゆしくも計ひたるかなと深く感ぜられ、島を呼び出して
手づから羽織を與えて、是より三成に能く心を合はせよといはれけり。
三成佐和山を賜はりたる時、島に碌増與ふべきよしいひけれども、禄更に不足にも
候はず。他の人々に賜はり候へと辞しけり。左近が父もと室町将軍家に仕へ、
左近江州高宮の傍にかひなきさまにて隠れ居たりしを三成が招き出しけるなり。
SAMURAIYAで1/29にリリースする新商品のモデル武将の記述もあります。
■尼子十勇士
尼子家十勇士と世に唱へるは山中鹿之介、薮原茨之介、五月早苗之介、
上田稲葉之助、尤道理之助、早川鮎之助、川岸柳之助、井筒女之助、
阿波鳴戸之助、破骨障子之助なり
本書は歴史書としてよりも、歴史読み物としてとても面白い一冊です。
戦国武将好きな人におすすめです。