2007年12月10日

「天地人」と「密謀」を読んで

2009年のNHK大河ドラマの主人公が敬愛する直江兼続公に決まりましたので、
その原作である火坂雅志著「天地人」上下巻を読みました。

私は歴史時代小説ファンなので、それなりの冊数読んでいます。
隆慶一郎、司馬遼太郎、吉川英治、山本周五郎、藤沢周平等々。
これら大作家の作品と比較すると、そのレベルの違いに唖然とします。
残念なことに、褒めるところが一つもないのです。
感想を書けば批判しか出てきませんので、やめておきますが、
ただ細かな点を幾つか書いておこうと思います。

全体を通して”義”という上杉家独特の家風を、直線的に際立たせて描いていた
のは好感が持てましたが、私の中での直江像とはかなりの違いがありました。
また、直江を謙信の”弟子”とする表現が何度も出てきますが、”弟子”という表現
にはかなりの違和感を感じました。

多くの歴史時代小説に、創作による主人公の恋愛話が描かれます。
血生臭い時代背景の作品に、それは一服の清涼剤となるのでしょう。
その好例として、司馬遼太郎著「燃えよ剣」の土方歳三とお雪との恋は、
”鬼の副長”の人間的魅力を引き立たせました。
「天地人」でも、直江の色恋話が幾つかでてきます。しかし必要だったのでしょうか。
直江は、正妻・お船以外のは側室は娶りませんでしたが、自分の恋を題材にしたような
詩を数編残していますので、そういうこともあったのでしょうが、「燃えよ剣」の土方とは
対照的に、直江の人間的魅力を半減させたように感じました。
特に、千利休の娘との恋話の設定には無理があったように思います。

個人的には、近年の大河ドラマのラブストーリー路線が好きではありません。
しかし本書を読み、脚本家が女性であることを加味すれば、大河ドラマでは、
やはりある種のラブストーリーとなるのでしょう。
ただ決して間違ってほしくないのは、直江のあの有名な兜の「愛」の前立てを、
「男女の愛」と解釈して描くのだけはやめてもらいと思います。
どうしても愛情の愛として描くのであればどこまでも「博愛」、つまり個人的なもの
ではなく、為政者としての”義”に立脚した領民への仁愛として描いてもらいたいと
思います。この点だけは地元の人間として、強くお願いしたいと思います。

直江











この作品は、上杉謙信ー直江兼続(上杉景勝)ー真田幸村という”義”のラインを
柱にしているので、直江の刎頚の友・前田慶次郎はサラッとしかでてきません。
大河ドラマではどうなるのでしょうか。

現在放送中の大河ドラマ「風林火山」で、上杉謙信(長尾景虎)と真田幸隆が丁寧に
描かれているのは、2009年の「天地人」(仮題)の伏線なのでしょう。
仮にそうだとすると、「天地人」(仮題)で真田幸村が重要な登場人物として出てくる
ようなら、次かその次あたりで幸村が主人公になるということも考えられそうです。

さて大河ドラマでのキャスティングですが、ここ数回はジャニーズ系のアイドルはなかった
ので、そろそろ出番でしょうか。もしそうなら、本木雅弘さん、東山紀之さんあたりが適当
な気がします。アイドル系以外なら、徳重聡さんはどうでしょう。背が高く戦国武将らしい
雰囲気がします。
いずれにしても、清冽なイメージと強い意志を感じさせる眉目秀麗な役者を望みたい
ですね。

■天地人/火坂雅志/日本放送出版協会/★☆☆☆☆

天地人〈上〉
天地人〈下〉


「天地人」を読んだ翌日、かなり以前に読んでいた藤沢周平作「密謀」を読み返し
ました。この「密謀」も主人公は直江山城守兼続です。
藤沢周平は時代小説が主で、歴史小説の数はあまり多くありません。そういう
意味では貴重な作品です。
藤沢周平作品としては平均点の作品でしょうが、登場人物の心理描写はやはり
秀逸です。物語も重層的で、奥行きがあります。
なにより、この作品に描かれた直江像は、私の中にある直江兼続とほぼ同じで、
感情移入することができました。
「密謀」では、上杉の”忍”がサブストーリーとして丹念に描かれていますので、
大河ドラマの原作としては難しいのかもしれませんが、個人的には「密謀」を原作
にしてほしかったと思います。

■密謀/藤沢周平/毎日新聞社/★★★★☆

密謀


2009年の大河ドラマは今のところ、期待より不安のほうが多いです。
とにかく直江を誰が演じるのか、そして原作をどこまで脚本で手直しできるのか。
その2点が注目です。

では今日はこのへんで  
Posted by ikusanin at 12:58

2006年06月24日

蝉しぐれ

蝉しぐれ  藤沢周平 文藝春秋

清流とゆたかな木立にかこまれた城下組屋敷。普請組跡とり牧文四郎は剣の修業に
余念ない。淡い恋、友情、そして非運と忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長して
ゆく少年藩士の姿を、精気溢れる文章で描きだす待望久しい長篇傑作!
「BOOK」データベースより
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手元にある本書は、文藝春秋刊の単行本。乳白色のカバー地に大きく筆字で
「蝉しぐれ」。シンプルで優しい装丁そのものの時代小説。なによりタイトルが
読書ごころをくすぐる。

海坂藩の下級武士・牧文四郎の青春群像。隣家の娘ふくとの恋物語、幼馴染との
終生変わらぬ友情、藩の政治に巻き込まれて苦しみながらやがて栄達していく姿
を清冽に描いている。剣に生きる武士が主人公の時代小説ではあるが、間違い
なく恋愛小説でもある。時代小説に馴染みがない女性に読んでもらいたい。
あの時代の階級社会の中で、互いに想い合いながら文四郎は武士として、ふくは
下級武士の娘としての運命を享受しながら誇り高く生きていく姿は、この国の多く
の先人を彷彿とさせる。

藤沢周平の最高傑作と評価する専門家もいる。藩内の派閥抗争に巻き込まれる
ストーリーが中心だが、ドロドロした複雑さがなく、ストレートな展開が嫌味がない。
読みながら自分の初恋や、若い頃の淡い恋と重ね合わせてしまう。
日本人の感性に合う、読後に涼やかな風が吹くような柔らかで淡い一冊。
蝉の声が聴こえる夏に読んでほしい時代小説である。
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蝉しぐれ
  
Posted by ikusanin at 14:27

2006年05月21日

秘太刀馬の骨

秘太刀馬の骨  藤沢周平 文藝春秋

北国の藩、筆頭家老暗殺につかわれた幻の剣「馬の骨」。下手人不明のまま六
年、闇にうもれた秘太刀探索を下命された半十郎と銀次郎は藩内の剣客ひとりひ
とりと立合うことになる。やがて秘剣の裏に熾烈な執政をめぐる暗闘がみえてくる。
「BOOK」データベースより
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本書はもちろん「時代小説」だが、ある意味「推理小説」の様相も呈している。
筆頭家老を暗殺した秘剣遣いを探索していき、最後にその秘剣遣いの暗殺者が
判明する。だが厳密に「推理小説」といえないのは、細かな伏線が張られていない
ことと、「オール読物」に連載されていたときと、単行本ではその”秘剣遣い”が
別の人物になっていることである。何故連載時と単行本発刊時で、結論ともいえる
”秘剣遣い”を異なる人物にしたのか私は知らない。

藤沢作品といえば、作者自身の出身地の山形県にあった庄内藩をモデルにした
架空の藩「海坂藩(うなさかはん)」を舞台にした作品が有名だが、本書も
読み進めていくと、庄内弁が多用されていることからも海坂藩のようであり、
でも違うようでもあり、はっきりしないが、中盤に初めて海坂藩につきものの
川の名前「五間川」が登場する。そこで初めてこの物語が、海坂藩でのことだと
判明する。疑問に思うのは、何故前半は川を「川」としか書いていないのに、
中頃から「五間川」としたのだろうか。

秘剣遣いの探索と並行して、主人公浅沼半十郎と妻の杉江の夫婦関係が進んで
いく。1年前に長男を亡くしてから心が不安定になった妻が時の流れとともに変化
していく。そこには単なる「推理」ものにはしない、作者の深謀遠慮が伺える。

構成はシンプルで分かりやすく、初めから映像化することを目的にしたような
平明さである。時代小説に馴染みがない人にでもサラッと読めるだろう。
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秘太刀馬の骨
  
Posted by ikusanin at 14:42

2006年05月01日

今年は藤沢周平を読む

私の趣味は読書です。中でもビジネス書と人文書、そして時代小説が好き
ですが、とにかく乱読です。
ビジネス書、人文書は特定の作者の著書を中心に読みますが、時代小説は
今まで特定の作者を決めず読んでいました。その中で当然合う、合わないと
いうのがあるのですが、私の感性に一番合ったのが隆慶一郎氏でした。
私は隆氏の視点の斬新さ、情景描写のダイナミックさ、登場人物の魅力に
惚れました。残念ながら急逝したため、残された作品数は少ないのですが、
どれも宝石のような輝きを放っています。
藤沢周平氏に関しては、直江兼続を主人公にした「密謀」を含め数作品を
かなり昔に読みましたが、何故かその後、手に取ることがありませんでした。
読みたいと思わなかったのです。

しかし、乱読の私が最近になって、一人の作者の作品を読み込んでいこうと
考えるようになったのです。そんな心持ちで本屋に行き、どの作者にしようか
と思案しながら店内をまわっていたとき、ふと目にとまったのが「蝉しぐれ」でした。
映画化されたためタイトルを覚えていたからでしょう。映画は観ていませんが、
本を手に取り、パラパラとページをめくり、出だしの一行目「海坂藩普請組
の・・・」の一行を見たとき、急に昔のことを思い出しました。藤沢周平氏は
現在の山形県鶴岡市の出身です。実は私も仕事の関係で鶴岡市に半年程
住んでいたことがあり、冬場の猛烈な地吹雪、山形名物の芋煮、あの独特の
庄内弁がサーッと思い出されたのでした。
その瞬間に、「今年は藤沢周平を読もう」と決め、5分ほどの間に、「蝉しぐれ」
「秘太刀 馬の骨」「三屋清左衛門残日録」「麦屋町昼下がり」の4冊を手に取り
レジに向かっていました。何故この4冊にしたのか、特別の理由があったわけ
ではありません。過去一度も読んでおらず、映像化されたものを観ていない
作品の中で、フィーリングだけで決めました。

私は山田洋次監督の映画がとても好きです。その山田監督初の時代劇が、
アカデミー賞(2004年)第76回 外国語映画賞にノミネートされた「たそがれ清兵衛」
です。その作品の完成披露記者会見で、山田監督は語りました。
『僕達日本人にとって身の丈にあった暮らし方は何だろうという事を今は考え
なければいけないんじゃないのか。ひたすら上昇思考の中でひたすら贅沢な
暮らし、よりデラックスな暮らしという風に追いかけてきたのがこの40年50年
だったとすれば、まあそこに思いきってブレーキをかけなければいけない時じゃ
ないか。このままじゃ絶対良くないんじゃないかという思いが僕にあったのは
事実です。
で、それは藤沢周平さんの作品の魅力も実はそこにあるような気がします。
この時代、とても生活が辛くて苦しくて、でもそこに今僕達が失ったたくさんの
ものがあって一種のユートピアを読者は感ずる事が出来る…そんな風に僕は
藤沢周平の作品を読んでましたしね。』


私は藤沢作品には明るくありませんが、今の時代に大切な何かがそこに描かれて
いるような気がしていますので、一冊一冊ゆっくり時間をかけて読んでいこうと
思います。  
Posted by ikusanin at 12:56

2006年04月04日

風の呪殺陣

『風の呪殺陣  隆慶一郎 徳間書店』

天下布武をとなえる織田信長は元亀二年、ついに比叡山に攻め込んだ。
僧俗3000とも4000ともいわれる酸鼻を極めた大殺戮であった。大阿闍梨・詮舜を
師とあおぐ修行僧・昇運は、阿闍梨への道をたたれ、立山にこもって大魔王信長
を呪い殺さんと呪殺行に入る。一方、この戦乱で両親と妹を失った山門公人衆・
谷ノ坊知一郎は、伊勢一向一揆に身を投じ、信長殺害に青春のすべてを賭けた。
傑作時代長篇。 「BOOK」データベースより
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私は正真正銘の隆慶一郎ファンである。
ホテル・料理格付けのミシュランのように、星三つが最高とするならば、隆作品
のほとんどに迷わず星三つをつける。しかし、本書の読後感を率直に云えば、
星二つ。
何故か僅かばかりの違和感が残った。隆作品にしては珍しい。
そんな思いを残しながら巻末の縄田一男氏の解説を読み進めるうちに謎が
解けた。この作品は未完だったのだ。

もちろん完結はしている。「問題小説」の1986年10月〜87年1月号まで連載されて
いたのだが、隆氏は意に満たぬものとして、あと百枚を書き足して首尾を整える
予定だった。ところが肝不全により急逝し、果たすことができなかったのである。
縄田氏は解説の中で、自分なりに「百枚」を推論しているが、私には語るべき
イマジネーションはない。
ただ、読後残った一抹の違和感は、信長が呪殺されるという一大テーマその
ものであることに気がついた。
本書の中で隆氏は信長を「正しく生まれながらの第六天の魔王である。生まれ
ついての強者であり覇王だった。」と評しているが、一介の修行者の呪術の
影響を受けた光秀により、信長が殺されるという、「魔が魔によって滅ぼされる」
もっと云えば「大魔が小魔によって滅ぼされる」。信長が第六天魔王ならば、
己以外の異形の力に屈するはずがない。もっとも「毒をもって毒を制す」という
言葉はあるが若干ニュアンスが異なる。

それならば「公界往来人」たる光秀が、自由の民との心の交流の中で独裁者
に反旗を翻し、魔王を討ったという流れのほうがしっくりくるし、隆氏の思想に
合致するように思う。
今となっては隆氏が「百枚」により、どのようにこの作品を模様替えしようとした
のかわからない。ただ云えることは、その「百枚」があったなら本書は最高の
歴史伝奇小説になっていたことだろう。

本書の最大の楽しみ方、それは隆氏が残した「百枚」を思考・想像することでは
ないかと思う。そしてそれは、隆慶一郎からの読者へのプレゼントだ。
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風の呪殺陣
  
Posted by ikusanin at 11:02

2005年09月16日

時代小説初体験は「燃えよ剣」

『燃えよ剣 司馬遼太郎 文藝春秋』

あまりに一般的すぎて、恥ずかしいのですが、初体験は、「燃えよ剣」の土方歳三でした。
『あ〜、やっぱりね・・・』という声が聞こえてきそうです。確かにありふれていますよね。
そこで、昔話を少し。

私が初めて時代小説を読んだのはニキビ面の中学3年のときでした。
社会の授業「明治維新」の項で、函館五稜郭で終焉した戊辰戦争の顛末を、社会科のN先生が教科書には書いていない新選組副長・土方歳三のエピソードを中心に講談調に話してくれたのです。

「歳三はただ一騎悠然と、敵の官軍に向っていった。歳三をみとめた官軍の将校が『いずれにまいられる。名は何と申される』と問うと、歳三はちょっと考え、そして名乗った。
『新選組副長土方歳三』
官軍の将兵は仰天した。
将校はきいた。『どういうご用件か。降伏の使者ならば作法があるはずではないか』
『降伏?新選組副長が用があるとすれば、斬り込みにゆくだけよ。』
そういうと、歳三は馬腹を蹴って群がる敵に単騎突入した。
官軍は一斉に射撃し、歳三は絶命した。」

土方歳三最後の台詞
『新選組副長が用があるとすれば、斬り込みにゆくだけよ』
この一言に中学生の私はシビレてしまったのです。
先生は最後に『今の話はこの小説に書かれている』と一冊の本を私たち生徒に見せました。それが、「司馬遼太郎著 燃えよ剣」だったのです。
先生が新選組の話を丁寧に語ったのは、新選組結成主要メンバーの近藤、土方、井上、沖田らが同じ東京多摩の出だったからなのかもしれません。ちなみに私の家から歳三の生家までは車で30分ほど、近藤の生家へも50分ほどです。そんな同郷の心理が働いたのかもしれませんが、私は「土方歳三」に惚れてしまったのです。厳密に言えば、司馬遼太郎が描いたフィクションの「土方歳三」ということになるのでしょうが。早速本屋に行き、なけなしの小遣いで「燃えよ剣」上下巻を買い求め、一気に読破しました。これが時代小説との出合いでした。

以後数多くの時代小説を読んできました。山本周五郎、藤沢周平、池波正太郎、吉川英治、隆慶一郎...

しかし、 私の中の時代小説BESTは永遠にこの一冊...
司馬遼太郎著...「燃えよ剣」

燃えよ剣
  
Posted by ikusanin at 10:16

2005年04月09日

柳生一族、凄絶なる剣の道

『柳生非情剣  隆慶一郎 講談社』
 
私は隆慶一郎作品に心惹かれます。
何故惹かれるのか理由は分かりません。
人を好きになるのに理由がないのと同じなのでしょう。
あえて云うならば、隆作品には”色気”がある。
その行間からにじみ出る”艶”がなんとも魅力的に感じるのかもしれない。
 
さて、隆慶一郎著「柳生非情剣」
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隆慶一郎は柳生一族に惚れている。
そのことは、本作品のあとがきで、『柳生一族に惹かれている』と
吐露していることからも明らかであるし、
なにより隆作品の多くに柳生一族が出てくることからもわかる。
時代小説デビュー作品「吉原御免状」では、主人公・松永誠一郎
の敵役として、柳生宗冬、十兵衛、
義仙などが登場する。「影武者徳川家康」では、柳生宗矩が二代将軍・秀忠の腹心
として
丹念に描かれている。他にも多くの作品に柳生は登場する。
そのいずれもが主人公に対しての敵役として描かれているが、本作品は、柳生一族の六人を主人公にした
六つの短編である。柳生といえばなんといっても十兵衛が有名、この短編集でも
「柳生の鬼」が十兵衛を
主人公として描かれている。この作品に登場する柳生の老人「アホの太平」と十兵衛の殺陣の場面が
たまらなくいい。十兵衛以外にも無名な柳生の人が主人公となっている。
中でも、「柳枝の剣」の主人公・友矩と将軍・家光との恋の描写
は秀逸。
友矩が男女について思う場面は、『これは作家・隆慶一郎の
女性観なんだろう』と頷かされる。面白い。
柳生一族の凄絶な生き様と哀しさを、この一冊が見事に描き
きっている。

                                       (4月8日読了)
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柳生非情剣
  
Posted by ikusanin at 12:55