幕末についての評価は難しい。
私のように歴史を専門に学んだことがない素人にとってはなおさらです。
敬愛する作家・隆慶一郎氏は語る
『維新というのは判らないですねえ。あまりに利害が錯綜していて。僕にはよく
判らないんですよ。やっている当人は純粋なのかもしれないが、結局はどこかの
利害に踊らされているところがあるでしょう。そこが嫌なんです。』
「かぶいて候(隆慶一郎著)より」
深く同感。
史実についての研究は専門家に委ねるとして、歴史というものの評価は
ある程度の時間が経過しなければ判断できないものなのではないでしょうか。
例えば、戦国時代については残された資料等から長い時間研究されることに
より、現在ではある一定の評価を下すことができます。(もちろん、新資料の
発見により定説が覆ることもままありますが)
織田信長について云えば、確かに暴君だったでしょう。
比叡山の焼き討ちや伊勢長島の一向一揆への攻めをみれば、まさしく
皆殺し、ジェノサイド以外の何ものでもない。その一点は、どんな大義があった
としても、許されるべきことではありません。
がしかし、大きな歴史の流れから俯瞰した場合、やはりあの時期、バラバラ
だったこの国に織田信長という男の存在が必要だったと云わざるを得ない。
ただしそれは、長い時間が経過しているから云えることであり、当時を生きる
人達にとって信長は、まさに狂人か魔王の如き存在だったことでしょう。
そこが歴史の難しいところです。
マクロに見るか、ミクロにこだわるか。それは「目的」を重視するか「手段」を
重視するかという視点にもつながるかもしれない。
幕末の武士で最も人気があるのは、坂本龍馬ですが、龍馬にしても評価は
真っ二つに分かれます。多くは薩長同盟の立役者として、ある意味幕末の
ヒーローにされている視点。これは、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の影響です。
いわゆる司馬史観。
もう一方は、維新は英仏など外国勢力の影響、もしくは策動により行わていた
とされる論です。詳しくは、「明治維新の舞台裏/石井孝/岩波書店」など参照。
つまり、龍馬はある意味英国の一員として、日本が英米の支配下に置かれる
ことを承知の上で活動していたという大胆な仮説です。
どちらが真実か私には判りません。
龍馬を殺した真犯人が特定されればその背景が見えてくるでしょう。
定説になっているのは、見廻組の佐々木只三郎ですが、薩摩説や長州説など
多々あり定かではありません。
今現在の私の理解する範囲では、龍馬は日本の為に開国することが良いと
判断し純粋に行動していたのではないか。しかし結果的に狡猾なイギリスなど
に利用されてしまった面もあり、最終的に消されたのではないか、と考えています。
明治維新に、英仏などの外国勢力が関わっていたことは間違いないでしょうから
この辺りの判断は実に微妙です。
最初に言ったように、幕末は難しい。
まだまだ私自身勉強不足です。
現在は、戦国時代の勉強で手一杯で、読むために購入した戦国の歴史書が
机の上に山積みになっていて、幕末までとても手が伸ばせません。
戦国時代の勉強がある程度終わったら、幕末に移りたいと思っています。
幕末については、まだまだ学術的にも研究の余地が残されているし、評価が
下されるまでは相当の時間が必要でしょう。
私が幕末の武士の中で興味を持っているのは以下の4人です。
吉田松陰、西郷隆盛、山岡鉄舟、そして土方歳三です。
薩長2人、幕府側2人。良いバランスです。
土方に関しては、歴史の中の役割としてではなく、一人の男の一生として興味を
持っています。私の体内に流れる武士の子孫としての血、もしくはDNAが、彼の
一生に何故か共感を覚えるのです。
この4人を中心にいずれしっかりと明治維新を勉強するつもりです。
でも当分先になるだろうなあ。
戦国時代を理解するだけで、凡人の私にはかなりの時間が必要ですから。
こうなったら速読でもマスターするか。
明治維新の舞台裏 第2版